みなさんや、周りの人にもったいない療法士はいないだろうか?
週末には研修やセミナーに出かけ、クライアントの為に時間とお金とエネルギーをかけていて、知識や技術はとてもあるのにもかかわらず、結果が出なかったり、変にこだわってしまってクライアントとの関係性がうまくつくることができない療法士。
私はこのような人を『もったいない療法士』と呼んでいます。
かく言う私自身ももったいない療法士でした。
もったいない療法士の根本原因はコミュニケーション能力やエビデンス信者があると思います。
特に療法士や医療従事者になるとエビデンス重視に陥りやすいですよね。なんでも物事には正解があり、その通りに実践すればうまくいくはずという思い込みが強い人。
確かに障がいや疾病そのものは現象学であり物理的なものが多いので、エビデンスの強いものを導入すればある程度同等の効果は得られるのですが、ここでうまくいった方法を対人関係論でも用いると痛い目に陥るのです。
対人関係についてアドラーは
『人の心理は物理学と違う。問題の原因を指摘しても、勇気を奪うだけ。解決法と可能性に集中すべきだ。』
と述べており、物理学的に対人関係で関わるとトラブルが陥りやすい。物理学的に関わるとは正論だけを述べ、相手の考えを正そうとする話し方ですね。
実は、正しい治療法をクライアントにやろうとすればするほど、実は対人関係は悪くなるのです。これがもったいない療法士の始まり。
例えば、高熱もあり、すごく体がだるくて自分はインフルエンザだと思い込んでいたとして、病院にかかったところ簡単な検査を行った後。医者から「インフルエンザは陰性でした。ただの風ですね、風邪薬出しておきます、お大事に」と言われたとしたらどうでしょう?
いやいや、これだけ高熱なんだから、インフルエンザでしょ!そうでなくても何か重篤な病気があるのではないのか?もっとちゃんと診てくれればいいのに。薬ももっといいものを処方してくれよ!このやぶ医者が!
ってな感じになったりもするのです。
医者は確かに正しい治療はしている。にもかかわらずクライアントに嫌われ、以後関係性が途切れる。とてももったいないですよね。
療法士ではどうでしょうか?
左片麻痺のクライアントがいたとして、このクライアントは手が動かないことがすごく気になっている。しかし、実はそれよりもトイレの動作がうまくできないことが、今後の生活に大きな課題になることが評価でわかっている。こんなときどうしますか?
おそらく、クライアントを説得して何とかトイレ動作の獲得を頑張る療法士のあなた。もったいないんです。
確かに正論ですし、そのほうが明らかに在宅生活に近道なのはわかるんですが、そんなことをされればクライアントはあなたを『話を聴いてくれない療法士』として不審に思ってしまうのです。
最悪の場合、治療すらさせてもらえなくなることもあり得ますよね。
この場合は手の治療をしっかりと行いながら、細かいタイミングで排泄の練習につながる訓練を行い、面接の時間を設けていく。
話を受け止めることがとても重要なのです。
ここで必要なのがコミュニケーション能力なのです。
コミュニケーションとはあなたの知識や技術をクライアントに届けるための配達役を担っているのです。
どんなにすごい知識・技術を身に付けていたとしても、届けるまでが粗雑だとボロボロになってしまうのです。
だからこそ、しっかりとコミュニケーションについて学ばないといけないのです。
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